自宅で会社を登記すると住所は誰でも見られる? 代表者住所の非表示措置と本店の守り方
一人で会社を作るなら、自宅で登記するのが一番手軽です。ただし登記した内容は誰でも見られるので、自宅の住所も会社の情報として公開され続けます。会社を作る前に知っておきたい「どの住所が載るか」と「どう守るか」をまとめました。
すでに会社を作った人は「代表取締役の住所を後から非表示にするには」をご覧ください。
会社の登記簿は、誰でも取れる

商業登記法第10条は、登記事項証明書を「何人も」請求できると定めています。会社名か所在地が分かれば取れるので、取引先の確認や営業リストづくりで、ふだんから広く取られています(手数料は法務省の一覧)。
登記簿に載る住所は2つ

自宅で登記した一人社長の会社なら、本店の欄と代表者の欄に同じ自宅の住所が載ります。合同会社も代表社員の住所が登記されますが、2026年10月現在、住所を隠す制度は株式会社にしかありません(合同会社などへの拡大は後述)。
代表者の住所は「非表示措置」で隠せる
2024年10月から、代表取締役の住所を登記事項証明書に市区町村(東京23区・政令指定都市は区)までしか出さない「代表取締役等住所非表示措置」が使えます。2026年10月現在の仕組みは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使える会社 | 株式会社だけ(2026年12月から合同会社などにも広げる予定) |
| 申し出られるとき | 設立など、代表者の住所を登記する登記と同時だけ |
| 必要な書類 | 本店が実在することの証明、住民票の写しなど、実質的支配者の証明 |
| 注意 | 登記事項証明書で代表者の住所を証明できなくなり、融資などで別の書類を求められることがある |
本店の実在は、会社宛ての配達証明郵便を本店で受け取るか、司法書士などの確認書面で示します。
制度は見直しが進んでいます。法務省は、対象を合同会社を含む全ての会社と一般社団法人などに広げる省令案を2026年7月に公表し、2026年12月の施行を予定しています(意見募集のページ)。登記と同時でなくても申し出られるようにすることや、すでに登記した住所も対象にすることは、2026年6月の規制改革の答申で「令和8年度中に結論を出す」とされた段階です。
隠せるのは「誰でも見られる」部分だけ
非表示措置は、自宅に直接届く営業の連絡や、突然の訪問を防ぐための仕組みです。責任や支払いから逃れるためのものではありません。変わるのは登記事項証明書への載せ方だけで、法務局の記録には番地まで残っています。
| 誰が | 代表者の住所をどこまで知れるか |
|---|---|
| 証明書を取る人(営業・個人など) | 市区町村まで |
| 利害関係を示した人 | 登記の申請書などの附属書類を閲覧すれば、番地まで分かる |
| 裁判所・役所などの官公署 | 法務局から提供を受けられる |
法務省の通達(令和6年7月26日 法務省民商第116号)は、附属書類の閲覧は住所を塗りつぶさず従前どおり扱うこと、官公署から求められたら住所を提供してよいことを定めています。会社が登記をする義務もなくなりません。
本店は、バーチャルオフィスで自宅と分ける
非表示措置で隠れるのは代表者の欄だけです。自宅で登記したままだと、本店の欄から自宅が分かります。登記の仕方ごとに、証明書から何が分かるかを比べると次のようになります。

一人の会社なら、月数千円で住所を借りられるバーチャルオフィスが一番安く済みます。登記に使うと、法務局や銀行からの郵便は本店(バーチャルオフィス)に届くので、受付で受け取って転送してもらう形になります。

選ぶときは、次の3つを確かめます。
- 法人登記ができるプランか。安いプランは登記に使えないことがあります。
- 配達証明郵便を受け取れるか。非表示措置の申出で、本店の実在を示すのに使います。
- 銀行の簡易書留を受け取れるか。法人口座のキャッシュカードなどは本店に届きます。
例:GMOオフィスサポート
GMOインターネットグループのバーチャルオフィスです。公式サイトのよくある質問で、配達証明郵便を受け取って転送でき、非表示措置の手続きにも問題なく使えると案内しています。銀行からの転送不要の簡易書留も受け取れます。拠点は全国23か所です。
| プラン | 法人登記 | 月額(税込) | 2027年1月上旬から |
|---|---|---|---|
| 転送なし | できない | 660円 | 990円 |
| 月1転送 | できる | 1,650円 | 2,530円 |
| 隔週転送 | できる | 2,200円 | 2,750円 |
| 週1転送 | できる | 2,750円 | 2,970円 |
入会金・保証金は0円で、転送料金は別にかかります。料金は2026年10月13日に公式サイトと料金改定のお知らせで確認しました。
設立のときに、まとめて済ませる
2026年10月現在、非表示措置は登記と同時にしか申し出られません。設立のときに申し出れば追加の登録免許税はかかりませんが、後からだと、重任を待って1万円か、本店を管轄外に移して6万円がかかります(資本金1億円以下の場合)。

- 法人登記ができ、配達証明郵便を受け取れるバーチャルオフィスと契約する。
- 定款の本店所在地をその住所にする。
- 設立の登記と同時に、非表示措置を申し出る。
