代表取締役の住所を後から非表示にするには|重任と本店の管轄外移転の違い
代表取締役の住所を市区町村までに隠す「非表示措置」は、会社を作った後からでも使えます。ただし申し出る機会は自分で作る必要があります。その方法と、本店を移して非表示にする流れを紹介します。
隠れるのは誰でも取れる証明書の上だけで、営業の連絡や突然の訪問を防ぐための仕組みです。利害関係を示した人や裁判所などには、これまでどおり住所が分かります。制度そのものと、登記簿に何が載るかは「自宅で会社を登記すると住所は誰でも見られる?」にまとめています。
申し出られるのは「登記のついで」だけ
2026年10月現在の仕組みでは、非表示は、代表者の住所を登記する登記と一緒にしか申し出られません。

申し出られるのは、設立、代表取締役の就任・重任(住所が同じでもよい)、代表取締役の住所変更、本店の管轄外への移転の登記のときです。会社を作った後で現実的なのは、重任を待つか、本店を管轄外に移すかの2つです。同じ管轄の中で移しても申し出られないので、移転先の管轄を法務局の「管轄のご案内」で先に確かめてください。
ただし、この仕組みは見直しが進んでいます。登記と同時でなくても申し出られるようにすることと、すでに登記した住所も対象にすることは、2026年6月の規制改革の答申で「令和8年度中に結論を出す」とされています。対象を合同会社などに広げる省令案は、2026年12月の施行が予定されています(意見募集のページ)。急がないなら、見直しの結果を待つのも一つの手です。
重任を待つか、本店を管轄外に移すか

| 重任を待つ | 本店を管轄外に移す | |
|---|---|---|
| 時期 | 任期が切れるとき(最長10年後) | いつでも |
| 登録免許税 | 1万円(資本金1億円以下) | 6万円(旧・新それぞれ3万円) |
| 本店の住所 | 変わらない | 自宅などから移せる |
非表示になるのは、申出と一緒に登記した住所だけです。管轄外に移すと新しい法務局で記録が作り直されるので、普段取られる証明書から古い住所が消えます。ただしどちらの方法でも、古い記録は閉鎖後20年間保存され、さかのぼって調べれば分かります(商業登記規則第30条・第34条)。
すでに会社がある場合、本店移転で非表示にするには
今の本店と別の法務局の管轄にあるバーチャルオフィスへ本店を移し、その登記と同時に非表示を申し出ます。自宅や事務所を本店にしている会社なら、本店の住所も一緒に切り離せます。

一番の関門は3の、本店の実在の証明です。配達証明郵便で示すなら、バーチャルオフィスの受付が配達証明郵便を受け取れるかが決め手になります。契約の前に確かめておきましょう。旧・新の法務局への登記と申出をまとめて進めるので、司法書士に頼むと手間が減ります。
管轄外に移すときの注意
- 移した日から2週間以内に登記する(会社法第916条)。
- 定款に書いた市区町村の外に移すなら、株主総会で定款を変える。
- 新しい法務局に、会社の印鑑を届け直す。
- 非表示にした後も、本店で郵便を受け取れる状態を保つ。法務局からの通知に返事がないと、措置が終わることがある。
移転先のバーチャルオフィス
拠点が多いサービスほど、管轄外の住所を選びやすくなります。たとえば GMOオフィスサポートは全国23か所に拠点があり、配達証明郵便の受け取りと非表示措置に対応していると公式サイトで案内しています。法人登記ができるのは月1転送(月額1,650円、2027年1月上旬からは2,530円)以上のプランです(2026年10月13日に公式サイトで確認)。
