役員報酬は年1回しか変えられない?期中に月10万円上げると60万円が経費にならない「定期同額給与」のルール

税金・給与
会議室のテーブルに白紙の書類2枚、ペン、印鑑、白紙の卓上カレンダーが置かれている写真風のイメージ(AI生成)
キービジュアルはAIで生成したイメージです。

「業績がよいので、来月から役員報酬を上げよう」。従業員の給与なら問題のないこの判断が、役員報酬では法人税の増税につながります。役員報酬を経費(損金)にするための「定期同額給与」のルールを確かめます。

役員報酬は3つの形でないと経費にならない

法人が役員に対して支給する給与の額のうち定期同額給与、事前確定届出給与または一定の業績連動給与のいずれにも該当しないものは損金の額に算入されません。

出典:国税庁 No.5211「役員に対する給与」(2026年10月10日確認)

毎月の役員報酬は、このうちの定期同額給与に当たります。1か月以下の一定の期間ごとに、事業年度を通じて同じ額を払う必要があります。役員のボーナスは、事前に税務署へ届け出る事前確定届出給与でなければ損金になりません。

額を変えられるのは3つの場合だけ

同じ高さの硬貨の山が横に並び、その入口に開いた門と砂時計があるイラスト
額を変えられるのは、原則として事業年度のはじめだけです(イラスト)。
改定の理由内容いつまでに違い
通常改定毎年決まった時期に行う改定(定時株主総会など)事業年度のはじめから3か月以内理由を問わず上げ下げできる
臨時改定事由社長の交代など役員の地位の変更、職務内容の重大な変更などその事由があったときやむを得ない事情が必要
業績悪化改定事由経営状況が著しく悪化したための減額その事由があったとき減額だけ。業績がよいときの増額は不可

業績悪化改定事由は、「利益が想定より少ない」程度では認められにくく、会社の経営の悪化でやむを得ず減額する場合のためのものです。他に方法がないかを税理士に相談してから判断しましょう。

期中に変えるといくら経費にならない?

ケース役員報酬損金にならない額考え方
期中に増額前半6か月は月30万円、後半6か月は月40万円60万円増額分の10万円×6か月
期中に減額前半6か月は月40万円、後半6か月は月30万円60万円減額前の差額10万円×6か月

国税庁の「役員給与に関するQ&A」の考え方にもとづく例です。増額した場合は増えた分が、減額した場合は減額前の期間に多く払った分が損金になりません。どちらも役員本人には給与として所得税がかかるので、会社と個人の両方で税金を払う形になります。

社会保険料も変わる

役員報酬は固定的な報酬なので、額を変えて3か月の平均が標準報酬月額で2等級以上変われば、変えた月から4か月目から社会保険料も改定されます(随時改定)。仕組みは4〜6月の残業と社会保険料で解説しています。役員報酬の額の決め方はひとり社長の役員報酬もご覧ください。

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出典

出典:国税庁 No.5211「役員に対する給与」、国税庁「役員給与に関するQ&A」、国税庁「役員給与等(法人税基本通達等の解説)」、日本年金機構「随時改定(月額変更届)」。確認日は2026年10月10日です。

出典:国税庁 No.5211「役員に対する給与」